長崎QDG2016_基調講演_01長崎QDGでは初の実施となる基調講演です。この記念すべき第一回の基調講演は、ガイオ・テクノロジー株式会社の大西 建児 氏に「テストと海外とワタシ 2016 in Nagasaki」というタイトルでご登壇いただきました。

本講演では、ソフトウェアテスト技術をテーマとして、海外活動へ取り組む経緯や取り組んでこられたことなどのキャリア面からのお話や、海外の技術動向について豊富な話題をご提供いただきました。セッションのアブストラクトは次の通りです。

■アブストラクト(御厚意により公開いただいた発表資料:qdg2016_keynote_onishi

「 鎖国時代において海外と日本の窓口であった長崎は「技術を海外に学び、技術で国を拓いてきた」土地であり、今もなお海外から多くの物事を受け入れています。本セッションではテスト技術について、海外のカンファレンスや国際会議への参加経験から、海外の技術動向や今後国内でも導入が進んでゆくであろう技術について紹介や解説をいたします。 テスト技術でも国を拓いていきましょう!」

本基調講演の「海外のソフトウェアテスト技術の動向」の話題についてレポートいたします。

 氏によると、テスト技術はここ最近モデルベーステスト、組み合わせテスト、探索的テストなど様々な技術が話題になっていますが、技術そのものとしては実は10年前ほど前からそれほど大きな変化は起きていないとのことです。しかしながら、テスト技術について体系的な整理が進んだり、規格が制定されたりなどの変化が起きています。今回は「ISTQBに見るテスト技術の動向」と「国際標準にみるテスト技術の動向」の2つについてご紹介およびご解説いただきました。

 ■ISTQBに見るテスト技術の動向

 ISTQBは「テスト技術者を認定するための、最も成功しているスキーム(日本語訳)」とされています。ISTQBは日本ではJSTQBがシラバスの日本語化や試験の運用を実施しており、国内ではFLやALといったレベルを認定されるテストエンジニアが増加の一途を辿っています。ISTQBは従来モジュール(レベル)体系として、FoundationとAdvanced、そしてExpertが制定されていましたが、最近Advanced LevelはSpecialistモジュール、Agileモジュール、Coreモジュールの3つによる構成に変更になった(なる)と変更がなされているとのことです。

 そのほか、テスト技術の領域をカバーするにはStaticなテストとDynamicなテストの両方を学ぶ必要があるとし、またその領域とISTQBのスキームがどのように関連しているかを解説いただきました。例えば、まだ日本語訳されていないテクニカルテストアナリストのシラバスには、システムテストレベルの技法よりも開発者寄りのテスト技法が掲載されているそうです。さらに、近年はユーザビリティに関連してHCD(Human-Centered Design)などの分野も発展してきており、Accessibilityなどについてもその品質を意識して開発しないとプロダクトリスクにつながるため、テストもこれまで以上に十分に意識していく必要があると解説されました。

 ■国際標準に見るテスト技術の動向

 次に国際標準面からの解説がありました。Automotive分野からISO26262やIEC6508におけるソフトウェアテスト技術の扱われた方について規格を参照しながら解説していただきました。氏によると、他にも沢山の規格や標準があるが、それぞれの規格の中でテスト技法の位置づけや記載のされ方には差異がありながらもベースとなる技術には大きな差異はないとのことでした。多くの規格とその成り立ちについて説明いただき、なかなか系統立てて学ぶ機会の少ない国際標準について理解を深められる貴重な機会となりました。

また、これから標準を参照してみようという方に向けて、特に英語で書かれた技術ドキュメントを読む際は誤訳して読み進めないよう注意する必要があるというようなアドバイスがありました。例えば”Function Coverage “を関数カバレッジと訳すのと機能カバレッジと訳すのかで全く意味が異なってくる」といったものです。

 基調講演は「テスト技術についてはベースとなる技術をしっかりと押さえておけば大丈夫。それをもって臆せず世界に羽ばたいていきましょう」とエールを送っていただき、締めくくられました。会場の参加者も、なかなか目を向けることの少ない海外の技術動向情報や実際に経験についてのお話に触れることで、おおいに刺激を受けた様子でした。

(報告:藤沢 耕助)