長崎QDG2016_ワークショップ_01ワークショップは「“KAIZEN”してますか?~現場力の源泉は改善活動にあり!~」と題して、株式会社デンソー技研センターの古畑 慶次 氏に登壇いただきました。

“KAIZEN”とは?現場力とは?という切り口から、仕事をしていくうえでのあるべき姿についての議論です。セッションのアブストラクトは次の通りです。

 

■アブストラクト(御厚意により公開いただいた発表資料:qdg2016_workshop_kobata
「 日本の改善活動は、“KAIZEN”として海外でも注目されています。しかし、ソフトウェア開発では、改善活動は製造現場の活動という意識が強く、敬遠しがちなのではないでしょうか?本講義では、改善のエッセンスを解説し、改善事例をワークショップ形式で考えてみます。短い時間ですが、改善活動が技術者の達成感や働く喜び、現場の活力に直結する活動であることを理解して頂ければと思います。

本セッションは、会場の参加者に対してKAIZENのエッセンスを盛り込んだ問いかけをしながら、事例をご紹介いただくという流れで進んでいきました。古畑氏と参加者による議論を中心にレポートいたします。

■“KAIZEN”のエッセンスについての議論

 「仕事とは?」 - 仕事とはなんでしょう。-

 議論は、この問いかけから始まりました。

 「仕事」は、いつ、だれがお金を払ってくれるかが明確なものであり、この問いかけに答えられないということは、仕事が成り立っていない状況があるとし、また、仕事が成り立ってないことに対して改善はできない、と解説いただきました。

「日常の業務では、何をしていますか?」「お客様に認めてもらえる価値を出していますか?」と、さらに問いかけが続きました。対価をいただくための価値を提供するために、日常の業務で何をしているのか、目的は何か、仕事とは何かを意識していなければいけないということを痛感させられました。

さらなる問いかけは、「競争相手は必要か?」というものでした。

お客様の要求に対し、一番価値を提供できたところへ対価は支払われます。よって、価値の創造への試みが独りよがりにならないため、また努力のモチベーションを保つために、競争相手は必要となると解説されました。

では、「会社の競争力とは何でしょうか?」

  ―それは生産性である。

生産性とは、「売り上げを原価で割ったもの」であり、その生産性を競争相手より高くしていくことこそが、競争に打ち勝っていくことであると解説されました。生産性を高くするということは、原価を抑え売り上げをあげていくことになります。ソフトウェア開発では期間を短くすることで生産性を向上することができます。期間を短くするために無駄を省き、付加価値を生む作業を行うことこそが生産性を高めることであり、「リーンソフトウェア開発」とはこのことを指す言葉であるとされました。

改善とは、あるべき姿がゴールであり、あるべき姿と現状とのギャップを埋めていく作業であると説明されました。そして、維持・改善を繰り返すことが重要であり、いきなり100点を目指さずにまずは60点くらいを目指し細かく継続的に活動を行っていけばよいとのことでした。すべての改善は、会社の競争力に寄与するものでなければならないと講義いただきました。

 ■改善事例紹介

 改善事例紹介では「システムテストの不具合対策」の事例を紹介いただきました。

対策の一例としてチェックリストを作り再発防止を防ぐ、などが挙げられていましたが、これが本当に最良の一手なのか?という問いかけがあり、参加者にて他のアプローチの提案など議論を行ないました。氏からは様々な手があるが、改善活動として実施するも何のための活動なのかわからくなったり、苦しくなったりすることがあるは、結果が出ない(出にくい)ことに取り組んでいることが一因であろうとされました。改善活動が技術者の達成感や働く喜び、現場の活力に直結する活動であること、また、技術者としても組織としても成長し喜びを感じていく改善活動が一番うまくいくものであり、それを深く考えながら改善活動に取り組んでいくことが大切だということを実感させていただきました。

  氏は「技術者としてWin、組織としてWinとなるような改善活動を。」とセッションを締めくくりました。その言葉に参加者は感じ入るものがあったようです。30分という限られた時間ながらも、参加者それぞれが議論を通してKAIZENについての理解を深める貴重なセッションとなっていました。

(報告:岡野 麻子)