【開催レポート】 NaITE#18 「ISO/IEC DIS 20246の説明 他」 開催レポート


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1 開催概要

2016年11月12日 NaITE#18「ISO/IEC DIS 20246の説明 他」を開催しました。概要は次の通りです。

開催日時 2016/11/12(土)

14:00 〜 16:30

開催場所 ワークプラザ勝田 研修室(3)(茨城県・勝田)
メインテーマ ISO/IEC DIS 20246の説明他
キーワード・タグ レビュー
プログラム 14:00~14:10 オープニング「開会のご挨拶」 NaITE運営スタッフ
14:10〜15:10 ISO/IEC DIS 20246 の(ごく簡単な)説明 すずき しょうご 氏
15:20〜15:50 実装に近い工程における品質保証 藤沢 耕助 氏
15:50~16:20 ディスカッション 参加者
16:20〜16:30 クロージング NaITEスタッフ

2 勉強会の様子

今回は「ISO/IEC DIS 20246の説明他」というタイトルで勉強会を行いました。

ISO/IEC DIS 20246とは,システム開発,テスト,保守,管理に関する作業成果物のレビューのための汎用フレームワークを示した国際規格案のことを指します。システム開発プロセスにおけるレビュー時に必要とする一般事項について記載されており,レビューに関する用語,プロセス,アクティビティやタスクなどがまとめられています。システムやソフトウェアに関わる全ての人が利用することができます。また,その他実装に近いレベルの品質保証に関するセッションと,それについての議論も行われました。

参加者は少ないながらも,セッション後のディスカッションは活発に行われ,有意義な意見交換を行うことができました。

2.1 オープニング

オープニングではNaITEスタッフから本イベントの注意事項,NaITEについての紹介,当日のプログラムについて説明をいたしました。その他現在活動中のSIG,活動を完了したSIGについての案内も実施いたしました。

2.2 セッション「ISO/IEC DIS 20246の(ごく簡単な)説明」

NaITE#18_session1_01

すずき しょうご 氏より,「ISO/IEC DIS 20246の(ごく簡単な)説明」と題してISO/IEC DIS 20246の概要を説明いただきました。また,レビューや評価などに関連する領域についても解説いただきました。

ソフトウェアテストに関する共通認識として,ISO/IEC/IEEE 29119ファミリーとISTQBの二つのトレンドがあるとされました。ISO/IEC/IEEE 29119が動的テストを扱うのに対し,ISO/IEC 20246は静的テスト(レビュー)を扱うと解説されました。また,規格名に付いている”DIS”というのは”Draft International Standard”の略で国際規格の案であることを示し,今後内容等が変更される可能性があるとのことでした。

ISO/IEC DIS 20246とは,システム開発,テスト,保守,管理に関する作業成果物のレビューのための汎用フレームワークを示した国際規格案です。ここでいう「レビュー」とは特定のプロセスとプロセス成果物を示すものではなく、システム開発プロセスすべてのプロセスとプロセス成果物を対象にします。また、レビューに関する用語の定義やプロセス,アクティビティなどレビュー時の一般的な事項について記載されており,システムやソフトウェアに関する全ての人が利用可能です。また,従来から広く知られているとレビューに関する規格IEEE 1028とのマッピングも,巻末のAnnexに記載されているそうです。

ISO/IEC DIS 20246では作業成果物のレビューを扱いますが,ここでいう作業成果物とは、ソフトウェア開発工程のすべての成果物を指しています。

  • レビュープロセスとドキュメントの例

NaITE#18_session1_02

レビュープロセスと成果物ドキュメントについて,例を示して説明されました。レビューの計画からドキュメントの修正,報告に至る過程で,問題の記録,インシデントレポートの作成が行われます。

レビューを考える上で必要なこと,レビューのタイプ,アクティビティとタスクについても解説されました。レビューの成功によって得られる成果には,欠陥や問題点の検出・識別,品質特性の評価など複数のものがあると説明されました。また,レビュー計画〜ドキュメントの修正・報告までの各アクティビティとタスクの詳細についても説明されました。

その他,個人レビュー等で用いるレビュー技法についても説明されました。アドホックレビュー,チェックリストベースドレビュー,シナリオベースドレビューなどについて解説されました。また,レビューで考慮すべきステークホルダの視点を考えることも重要とされました。最後は、レビュープロセス自体のプロセス改善の必要性にも触れ,レビューにおけるメトリクスやツールによるサポートについて説明されました。

レビューはソフトウェア開発における重要なプラクティスの一つです。ISO/IEC DIS 20246の公開をきっかけに,自分たちが行っているレビューについて今一度振り返ってみてはいかがでしょうか。

2.3 セッション「実装に近い工程における品質保証」

NaITE#18_session2_01

藤沢 耕助 氏より,「実装に近い品質保証」と題して発表いただきました。

実装レベルに近い品質保証について,実体験ベースでの発表が行われました。あるSIプロジェクトのシステムテストレベルのテストにおいて,単体テストレベルの欠陥が摘出されることに対して問題意識があるとしました。ここで,発表者の立場はプロジェクトのQAチーム担当者であるとしました。摘出される欠陥の例としては,アプリの業務ロジック考慮漏れ,(システムリプレースの場合)現行システムとの処理結果不整合,処理分岐やループ条件誤りなどを挙げられました。これらの欠陥は本来コードレビューあるいは単体テストで摘出すべきであるとし,特にコードレビューに力を入れて取り組むべきであるとの説明が行われました。QAはもっとコードレビューに積極的に取り組むべき,と提案がされました。

  • ディスカッション

NaITE#18_session2_02  ディスカッションの冒頭では,QAのプロジェクトにおける役割および開発プロセスの全体像について。藤沢氏から説明が行われました。その後,QAがコードレビューに参画することで得られる価値,コードレビューの他にQAとしてできる活動について意見交換を行いました。QAはプロジェクトにおける第三者的な立場をとっており,開発プロセスに入り込みすぎるとその第三者的な視点が失われるのではないかとの意見も挙がりました。

また,QAが実装の工程で特に取り組みやすい施策として「静的解析ツールの導入」があるとの意見も挙がりした。QAの立場として,プロジェクトでどのような活動を行っていくことが品質向上に寄与するか,有意義な意見交換を行うことができました。

3 参考情報・リンク等

当日の発表資料等は以下をご参照下さい。

  • オープニング資料

http://www.slideshare.net/ssuser516465/naite-18

  • 「ISO/IEC DIS 20246の(ごく簡単な)説明」

http://www.slideshare.net/ssuser516465/isoiec-dis-20246

  • 「提案:QAも実装に踏み込んでみよう」

http://www.slideshare.net/mhlyc/qa-68822058

4 次回の予定等

次回は1月21日(土)「数学を学ぼう ~数学の知識を利用したソフトウェアテスト~」と題して,川崎駅周辺にて開催予定です。

以上

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2016年12月28日 作成
報告者:藤沢 耕助(NaITE運営スタッフ)

pdf:NaITE#18 「ISO/IEC DIS 20246の説明 他」 開催レポート

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