1 開催概要
2017年11月11日 NaITE#25を以下のように開催しました。
https://nagasaki-it-engineers.connpass.com/event/67603/
開催日時 | 2017/11/11(土)
13:20 ~16:40 |
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開催場所 | サンピアンかわさき 第2会議室 | ||
メインテーマ | 欠陥モデリングワークショップ&解説 | ||
キーワード・タグ | ソフトウェアテスト 欠陥分析 バグ票 モデリング | ||
プログラム | 13:20〜13:30
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オープニング「開会のご挨拶」
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NaITE 運営スタッフ
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13:30〜16:30
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セッション1 「欠陥モデリングワークショップ」 |
森 龍二 氏 | |
16:30〜16:40
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クロージング | NaITE運営スタッフ |
2 勉強会の様子
今回は「欠陥モデリングワークショップ&解説」というタイトルで勉強会を行いました。
ソフトウェア開発にはバグはつきものです。摘出されたバグの情報は一般にバグ票やチケットとして管理・蓄積されますが、その場限りの帳票として管理され、破棄されてしまうことも多くあります。 バグ票を単に帳票として使い捨てるのではなく、そこから何かを学んで、今後の開発に役立てようと試みている組織もあります。ただ、バグ票に書かれた情報をそのままチェックリストのような形で展開していないでしょうか? 再現条件や操作方法など詳細に書かれたバグ情報は、別の開発でも使える形になっているでしょうか? また、それを後から読みたいと思うでしょうか?
バグ情報の有効活用の手段として、欠陥情報を欠陥発生のメカニズムとして図式化した「欠陥モデル」で整理することで、プロジェクトを横断した情報活用がしやすくなることが知られています。
今回のワークショップでは、欠陥分析の専門家である森さんにご登壇いただき、欠陥の根本原因分析(誘発因子・増幅因子まで)を行い、作成した欠陥モデルについてグループで議論して理解を深めました。
2.1 オープニング
オープニングではNaITEスタッフから本イベントの注意事項、NaITEについての紹介、当日のプログラムについて説明をいたしました。その他現在活動中のSIG、2/2に開催が決定した長崎QDGについての案内も実施いたしました。
2.2 セッション1「欠陥モデリングワークショップ」
まず初めに、森氏から欠陥モデリングの概要について解説いただきました。
<欠陥モデリングの解説>
森氏は「不具合分析あるある」として、以下のようなものを挙げられました。
- 現場のローカルルールに依存していたり、属人的になっていたりするために汎用的な分析ができない
- 再発防止策が検討できず、同じようなバグばかり発生する。改善につながらない
- 発生しているバグから現在の品質が判断できない
森氏は、欠陥モデリングとは、欠陥が発生するメカニズムをモデルとして表現したものであり、モデルとして表現することで伝達が容易になるとしました。
欠陥モデルの表記法について、下図に示します。
図1:欠陥モデルの表記法(引用:NaITE25 森 龍二氏 講演資料 より)
森氏は、誘発因子から過失因子が導出され、その過失因子(誤り)が成果物に実装されることで欠陥となり、最終的に発生した実害のことを表出現象というと説明されました。増幅因子は過失や欠陥を発生しやすくする間接原因であり、直接原因ではないことに注意が必要とのことでした。
欠陥モデルについての解説の後、モデリングのワークショップを行いました。
<欠陥モデリング演習>
森氏に準備していただいた題材を元に欠陥モデリングの演習を行いました。その後、参加者が持ち寄った「欠陥」を持ち寄り、各チーム一つずつ欠陥を選びモデリングを行いました。
図2:ワークショップで参加者が作成した欠陥モデル
書き方としてはまずは要素を書き切ったあとに、各因子に割り振っていく方法が良いとされました。現象から原因に向かって書き、時間軸ではなく因果の関係で書くことが重要であると解説されました。
<まとめ>
森氏は、欠陥モデリングは欠陥の混入過程をモデル化したものであり、モデリングを行うことで関係者間の情報伝達、共有がしやすくなるとされました。分析する数をこなすことにはあまり意味はなく、簡単な傾向であれば数個選択してモデリングすることでプロセス改善につなげることができるとされました。
2.3 アンケート
最後に、今回の勉強会で実施したワークショップのアンケートを実施しました。以下に、その中のいくつかをご紹介します。
- 自分の出した不具合を他の人が分析するのは新鮮だった
- 誘発因子を出すのが難しい
- 因果関係を元に整理するのでWhy5に比べて手軽に不具合発生の分析ができる
- モデルを作って議論することで問題を深掘りすることができた
- この分析は理解しやすく、導入がしやすそうだと思った
- モデリングを使うと、過失因子止まりになっていた分析の問題点がわかりやすくなるので良い
アンケートの中で多く挙げられたのは、「モデルを作って議論するのが楽しかった」というものでした。この分析手法は故障モード(FMEA)を考える方法など他の手法(ヘビーウェイト)と比べると現象をそのまま記述すればよい軽量な手法(ライトウェイト)であり、手軽に導入できるのがメリットであるとされました。
3 参考情報・リンク等
当日の発表資料等は以下をご参照ください。(オープニング資料のみ公開)
・OP資料
https://www.slideshare.net/NaITE_Official/naite25op/NaITE_Official/naite25op
4 次回の予定等
次回は1/20(土)に開催予定です。内容が確定次第、NaITE公式ページにて告知いたします。
以上
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2017年12月10日 作成
報告者:藤沢 耕助(NaITE)