【開催レポート】3rd長崎QDG レポート 3.3:技術セッション「速効性重視のレビュー技術:高速2パーソンインスペクションのススメ」


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3.3    技術セッション「速効性重視のレビュー技術:高速2パーソンインスペクションのススメ」

3.3.1    はじめに

このセッションでは、日本アイビーエム株式会社の原氏による効果的なインスペクションの方法についての紹介とワークショップを実施いたしました。リモートでのセッションという初の試みでしたが、日本アイビーエム株式会社の細川様に会場にてサポートいただき、問題なくセッションを実施することができました。

3.3.2    レポート報告

3.3.2.1   2パーソンインスペクションとは

「2パーソンインスペクション」は、2人で行なうレビューで、それぞれの役割(「Reader(読み手)」「Validator(検証者)」)を担って実施します。読み手は、設計ドキュメントに記載されている内容を、朗読するわけではなく、読み手の解釈で説明します。検証者は、読み手の解釈に問題がないかをいくつかの質問(つっこみ)をすることで記載の内容に齟齬や誤りがないか確認します。2人の意見が一致しない場合は、「正しいことはなにか?」といった対処方法を議論するのではなく、欠陥か否かの判定を行ない、欠陥であることの合意がされればそこで議論は終了して、レビューを進めます。対策方法については、レビューとは別の場で議論する、というレビュー手法です。

3.3.2.2   ワークショップ

次に、「2パーソンインスペクション」のワークショップが実施されました。講義の内容を2人1組で役割分担をして実際に試してみました。5分でレビュー対象を読み、あとの数分で議論を行なうという短い時間でしたが、多くの参加者が、普段行なうレビューとの差異を体感できました。

ワークショップを通して「2パーソンインスペクション」と普段のレビューの違いについて説明がありました。レビューで欠陥検出効率をあげる(気づきを誘発させる)ためには、レビューの空気作りが重要で、そのためにはお菓子などを使い、緩やかな空気をつくることが大事だと説明されました。固い空気では、作成者や読み手は「守り」に入ってしまい自由な発言が損なわれる、ということです。

また、検証者は欠陥を指摘する役割ですが、指摘の仕方に工夫が必要です。指摘することはドキュメントにある内容(客観的な記述)に対して行われる必要があります。さらに、指摘した欠陥に対して「いま検出できてよかった!」感を共有することが重要です。普段のレビューで効果が体感できない背景についても説明がありました。よくあるのは、「軽微な欠陥しかレビューで検出できない」というものです。これらは、レビューミーティング前の事前にレビュー対象を見ていない、セルフレビューが足りない、レビューミーティングで誤字脱字などが指摘されることが説明されていました。誤字脱字などの軽微な指摘事項は、レビューミーティング前に検出して共有することが説明されました。

また、時間がかかる背景として「レビュー対象を1ページ目から順番にレビューミーティング時にみんなで確認している」というものがありました。レビュー対象のはじめのほうには、経験的に深刻な欠陥が混入されていることは考えにくいことから、1ページ目から順番に確認することは非効率であることが説明されました。レビュー箇所は、レビュー対象を俯瞰した上で、レビュー対象の構成や文字密度などを考慮して、決めるのがよいという説明でした。さらには、標準的なレビュー進度(たとえば1時間でどれくらいレビュー対象ドキュメントを読めるか)やレビューに効果的な人数(経験的には多くても4人、最少だと2人)などもあわせて説明がありました。

3.3.2.3   レビューライブ

最後に、細川さんと原さんによるレビューをライブで拝見いたしました。ライブで見ることにより、レビューでは、どのような点に着目するのか?どのようにレビューを進めていくのか?ということを通して知ることができました。

本セッションでは、つらい・空気が重い・無意味に思えるレビューをよりよくするためのヒントが多かったので、自分の組織でも、ぜひ実践してみようと思いました。

(報告:すずき しょうご)

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