1     開催概要

2016年7月30日 Agile Japan 2016 長崎サテライト with NaITEを以下のように開催しました。当日の長崎は酷暑に見舞われましたが、15人の参加者申込み者が全員遅刻無く定刻に始めることができるなど外に負けずに熱気あふれる雰囲気で開催することができました。

開催日時 2016年7月30日 12:00~16:40
開催場所 メルカつきまち 5F会議室
プログラム ■Agile Japan 2016 基調講演1

「スクラムがイノベーションを加速する 〜ソフトウェア以外にも適用されはじめたアジャイル〜」

Joe Justice 氏(President Scrum in Hardware、 Scrum Inc. )

■長崎独自セッション

「Are you ready?」 ツノダ シュン 氏(NaITE)、池田 暁 氏(NaITE)

■特別招待講演

「Gate of Agile Web Development」 伊藤 浩一 氏(永和システムマネジメント)

■Agile Japan 2016 基調講演2

「アジャイルなIoTプラットフォーム開発」  玉川 憲 氏(株式会社ソラコム)

■長崎独自トークセッション

「アジャトーーク!」 モデレータ:大月 美佳 氏(佐賀大学) トーカー:伊藤 氏、池田 氏

詳細ページ http://nagasaki-it-engineers.connpass.com/event/32873/

 

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2     セッションの様子

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長崎サテライトのセッションは、AgileJapan2016基調講演の録画再生2セッションの他、永和システムマネジメント伊藤様による特別招待講演を実施、加えて長崎独自セッションを2件実施しました。

本レポートでは、伊藤様による特別招待講演および長崎サテライト独自セッションについてレポートいたします。(Agile Japan 2016 基調講演についてのレポートは、Agile Japan 2016 関連のレポートをご参照ください)

※当日、会場にはマナスリンク社提供のアジャイルに関するフリーペーパー「EM-ZERO」やエッセイ集である「アジャイルの魂」も展示させていただきました。参加者は興味深そうに手に取り、熱心に目を通していました。

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2.1   長崎サテライト独自セッション「Are you Ready? 〜アジャイルプラクティスの実践と実感〜」

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長崎独自セッションでは、「Are you Ready? 〜アジャイルプラクティスの実践と実感〜」と題して、NaITEのツノダ シュン 氏、池田 暁 氏が発表しました。アジャイル開発に取り組むにあたり、多数あるアジャイルプラクティスからどう選択し、どう取り組んでいけばよいのか、実際に実践してみての実感をもとに解説されました。

 

■導入するアジャイルプラクティスの選定(池田 氏)

はじめに、多数あるアジャイル開発のプラクティスからどのように導入するものを選んでいけばよいのか、池田 暁 氏より説明されました。プラクティスを選定するにはまず全体としてどのようなプラクティスが存在し、自分達のやり方に合うものはどれか検討する必要があります。アジャイル開発のプラクティスについて概要を調査するために、情報処理推進機構が国内のアジャイル開発実践者とまとめた「アジャイル型開発におけるプラクティス活用事例調査」の報告書とリファレンスガイド」が参考になるとのことです。

 

■アジャイルプラクティスの実践と実感(ツノダ シュン 氏)

ツノダ シュン 氏より、プロジェクトでアジャイルプラクティスを実践した経験から、実践の中で出てきた問題点とその対策、および実践してみての実感について発表しました。発表ではプランニングポーカー、タスクかんばん、バーンダウンチャートなど多くのアジャイルプラクティスが取り上げられ、それぞれについて実践してみて困ったこととその解決の仕方など、実感をからのアドバイスが提供されました。

 

 ■アジャイルスタートアップにおけるコツ、注意点(池田 氏)

最後にアジャイルスタートアップにおけるコツや注意点に7つが紹介されました。例えば「開発ツールの利用が必須となるプラクティスをプロジェクトで導入したい場合は、ツールの導入について問題はないか、ツールを動作させるためのサーバスペックに問題はないかなど実現可能性を注視すべき」といった注意点のほか、契約形態に関して考慮すべき事柄など、プラクティス導入を支援した立場から様々なアドバイスをいただきました。また、一度は行ってみるべきアジャイル関連の勉強会イベントとして「Agile Japan」「XP祭り」が紹介されました。勉強会でアジャイルの勉強をしている人とも知り合えるので、よりアジャイルに関する情報を得やすくなるとのことです。

これら情報はこれからスタートアップしようとしている聴講者にとって参考になったようで、熱心に聴講しメモを取っている姿が目立ちました。

(記:藤沢)

 

 

2.2   特別招待講演「Gate of Agile Web Development」

特別招待講演は「Gate of Agile Web Development」というタイトルで永和マネジメントシステムの伊藤浩一氏に講演頂きました。

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■アジャイル開発の歴史

ソフトウェア開発の歴史と、何故今アジャイル開発が必要とされているのかの説明がされました。ソフトウェアは目に見えないため動作するソフトウェアがない状態では、要件検討が難しく、細かくプロセスを回して最小の機能セットで市場に出す必要があり、それらを実現するアジャイルプロセスが登場してきたとのことです。ウォーターフォールモデルの誤解や、ユーザに使われていない機能が64%あるなど、幅広い分野から解説しておりとても勉強になる内容でした。

 

■継続的デリバリーを支える技術

プログラマーとしての基礎技術かつ継続的デリバリーの基礎技術として下記の3つの説明がありました。

  • バージョン管理
  • テスティング
  • 自動化

Pull Requestを活用することで複数人のレビューが入り、より良いコーディング、要件とのズレを修正した物のみがリリースされるとのことでした。また、テスト駆動開発を活用することにより、更に要件とのズレなどを早く気がつくことが出来るという説明がありました。

更に、CIを自動化することでテストはJenkinsに任せる事ができ、開発者は自分の使用したいツールを使えることでモチベーションが上がり、生産性も向上するとのことでした。

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■入門の先にある世界の話

基礎技術の先の話として、次3つが紹介されました。

  • 相対見積もり
  • ブランチ戦略
  • 緊急リリースに備える技術

相対見積もりや、緊急なリリースに備えるためのgitの技術など、どれも実践的な内容になっていました。既にアジャイル開発を導入している参加者にとっても有益な内容だったのではないでしょうか。

最後に社内広報のメールが紹介され、アジャイル開発を行い、個人がプロとして自覚を持って開発することで、高品質なソフトウェアを作成できるというお話がありました。「こんなにも不具合が発生しないシステムは初めてです。」という声をお客様から頂いたという内容は、参加者にとってとてもインパクトがあったのでないかと思います。

伊藤氏の講演では、アジャイル開発に関する幅広い内容を「現場での実践」と絡めて話すことが強く意識されているように感じました。伊藤氏の講演資料をもとに、アジャイル開発に改めて勉強し、「実践」してみてはいかがでしょうか。

(記:角田)

 

2.3   長崎サテライト独自トークセッション 「アジャトーーク!」

本トークセッションは「アジャトーーク!」」と題し、アジャイル開発についてフリーにトークするセッションです。

モデレータを大月美佳氏(佐賀代諾)、トーカーを本日講演いただいた伊藤浩一氏、池田暁氏によるトークセッションが行われました。トーカーそれぞれのアジャイルスタートアップをはじめ、それまでのセッションに関するQ&Aなど、会場を巻き込んだトークが行われました。

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■それぞれのアジャイルスタートアップ

はじめに、アジャイルのスタートアップはどうであったか?というテーマで、テスターという立場から池田氏、開発者の立場から伊藤氏という切り口から、トークが開始されました。

池田氏は、品質保証部門の立ち上げと、アジャイルのブームが重なり、影響をうけたと話していました。テストでもアジャイプルプラクティスの実践や応用は有効であり、同じプラクティスを開発とテストがそれぞれ使っていることからプラクティスレベルでの歩調あわせができ、結果として共同作業の円滑化に効果があったそうです。聴講者から「まず最初に何から使い始めたのか」という質問には、テストと開発が同じチームとして情報を共有する「場」を作るためにデイリーミーティングのプラクティスが有益だったという回答がありました。小さいことでも、きちんと意識して実践すると効果が出るし大切なことだということです。

伊藤氏は、「エクストリームプログラミング」を読んだ時、「書かれている内容が間違っているのでは?」と思うほど、衝撃だったそうです。またテストコードの書き方がわからず悩んだことや、「プラクティスを実践すればアジャイルである」と思っていたこともあったそうです。しかし、アジャイルとして完成したフレームワークがあったプロジェクトに参画することで、アジャイルについて理解できたということを話していました。

■アジャイル開発を軽快に維持するための開発環境や先進技術

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他には、ツールに関するお話では「アジャイル開発において、ツールの影響は大きい。特にGitの進歩が大きく、Herokuと連携してデプロイまで実施できてしまう。」ということで、ツールを理解して使いこなすことの重要性のお話がありました。また、技術の最新動向をみるには、コミュニティに参加して議論に参加したり、いわゆる「エッジの効いた人」がどういった技術に着目しているかをウォッチしたりするとよいとお話されました。

 

最後に、モデレータの大月氏が「この20年で、ソフトウェア開発は大きく進歩してきた。そのなかでアジャイルは大きな役割を果たしてきた。そうしたアジャイルの流れをキャッチアップしてほしい」ということでトークセッションを締めくくりました。

アジャイルに現在取り組んでいる方、またこれからアジャイルに取り組もうとしている方々にとって、参考になるセッションであったと思います。トーカーのお二方に強く影響を与えていたのが、書籍「エクストリームプログラミング」であったようですので、まだ読んでいない方は、これを機会に読んでみてはいかがでしょうか。

(記:鈴木)

 

3     全体雑感・謝辞

本イベントは満席をもちまして最後まで熱を帯びて開催することができました。少し気が早いですが、来年もサテライト開催を検討していきたいと思いますので、このイベントをきっかけに長崎でもアジャイルをスタートアップしている方が増えていくと幸いです。

本イベントの開催にあたってはAgile Japan実行委員会様や事務局様は勿論、招待講演していただいた永和システムマネジメント社の伊藤様やフリーペーパーをご提供いただいたマナスリンク社など沢山のお力添えをいただきました。この場を借りて深く御礼を申し上げます。今後ともご支援いただければと存じます。

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以上

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2016年8月6日
報告者:Agile Japan 2016 長崎サテライト 実行委員会

PDF:「Agile Japan 2016 長崎サテライト with NaITE」開催レポート